児童相談所に診療所  精神科、心のケア

児童相談所に診療所  精神科、心のケア
県、試験設置へ
 県は中央児童相談所(上尾市)内に、精神科の診療所を試験的に設置するため、近く保健所に開設許可を申請する。虐待で心の傷を負うなどした親子らへの支援が目的で、一般には開放しない。精神科医療の受診を拒否する親子らの不安を取り除きながら、より早い治療開始と再発防止を目指す。県によると、児童相談所への診療所の設置は県内初で、全国的にも珍しいという。

 県こども安全課によると、県やさいたま市に寄せられた児童虐待に関する相談は、2000年度に1186件だったが、07年度には約2倍の2425件となり、増加の一途をたどる。

 県は07年8月、児童虐待による心のケアを実施するため、中央児童相談所に常勤の児童精神科の医師1人を配置。他の児童相談所も巡回させて、カウンセリングや助言などを実施し、今年1月末までに計約1840件の面談などを行った。

 医師は、親子らに精神医学的な治療が必要と判断した場合、地域の医療機関を紹介するが、精神科医療に対する抵抗感があり、受診を拒否するケースが少なくなかった。

 「医師がいるのに親子らの症状が悪化したり、虐待が繰り返されたりしかねない」と懸念した県は、児童相談所内への診療所の開設を思いついた。

 診療所での診察は、親子らの精神科医療への不安や偏見をなくしながら、なるべく早く治療を始めるのが目的。このため受診期間は1か月程度にとどめ、その後は地域の精神科医療機関を受診してもらう。「相談やケアの一環」という位置づけで、治療費や薬代は県が全額負担する。

 診療所のスペースは、医師がカウンセリングなどに使っている部屋(約18・5平方メートル)を使うため、設備費用はかからない。

 同課は「虐待を受けた子どもは、トラウマなどから衝動的・攻撃的な言動や自傷行為がみられることがある。虐待した側も、不眠を訴えるなど精神的に不安定な場合が多い。児童相談所への精神科診療所の開設は、発生予防や早期対応などの効果が期待できる」としている。

2009年2月21日 読売新聞
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