アルツハイマーの治療薬、「海馬」神経細胞を再生

アルツハイマーの治療薬、「海馬」神経細胞を再生
2009年4月11日 朝刊

 認知症の一種、アルツハイマー病の代表的な治療薬「アリセプト」が、認知機能をつかさどる脳の「海馬」の神経細胞を再生させることを、名古屋市立大のグループがマウスを使った実験で突き止めた。認知機能の低下を防ぐメカニズムを持つことが分かったことで、発症予防や新薬の開発につながる可能性がある。
 同大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループで、研究成果は米薬理学会誌(電子版)に掲載された。
 正常なマウスに4週間、アリセプトを餌に混ぜて与え、海馬を調べると、細胞増殖を促進するタンパク質「IGF-1(ローマ数字の1)」が増え、海馬の神経細胞も約1・7倍に増加。さらに胃や腸の知覚神経を培養し、アリセプトを加えたところ伝達物質が放出された。このことから、アリセプトが消化管の知覚神経に作用して信号が脳に伝わり「IGF-1」が作られたことが分かった。
 他のアルツハイマー病治療薬ではこのような効果がなかった。
 アリセプトは、アルツハイマー病の進行を抑制する効果があるとされる。脳の信号の伝達に必要な神経刺激物質「アセチルコリン」を分解する酵素を阻害することで、アセチルコリンが刺激する神経の数が増えると説明されてきた。
 岡嶋教授らは以前、マウスの実験で、トウガラシなどに含まれる「カプサイシン」による消化管の知覚神経への刺激が海馬に伝わり、神経細胞の再生を起こすことを解明した。
 ■アルツハイマー病治療に詳しい浴風会病院(東京都)須貝佑一・精神科診療部長の話…海馬の神経細胞を再生するという研究結果は新しい知見で評価できる。ただ人にも当てはまるかどうかは、さらに研究が必要だ。また、アリセプトは既に軽度の認知症患者にも投薬されているが、効果が出たり出なかったりしている。予防薬としての利用は今後も検討が必要だ。

中日新聞

関連記事

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する