公立八鹿病院:ホスピス開設4年 患者、家族に笑顔と満足 /兵庫

公立八鹿病院:ホスピス開設4年 患者、家族に笑顔と満足 /兵庫

 ◇「役割理解され軌道に」 在宅ホスピスの試みも
 養父市八鹿町の公立八鹿病院(宮野陽介院長、420床)の緩和ケア病棟(ホスピス)が開設4年を迎えた。有効な治療法がなく、余命が限られた末期がん患者らの身体的、精神的な苦痛を積極的に取り除き、人生の最期をその人らしく、家族や親しい人とともに有意義に過ごせるよう支援する施設だ。4年間で333人が利用したホスピスを訪ねた。【竹花義憲】

 04年12月に完成した病棟の最上階の11階に、高級ホテルのようなロビーや快適な個室、グランドピアノの演奏を聴けるホールなどがある。家族が患者の求める食事を作れるように、調理器具や食器を整えた台所があり、シャワーも完備。面会時間に制限はなく、家族や友人はいつでも訪ねて来られる。周囲の山並みや円山川を一望できる屋上庭園は、ハナミズキやバラ、ヤマボウシなど四季の花が植えられ、患者がリラックスできるよう工夫されている。

 前立腺がんで今年1月、ホスピスに入った豊岡市内の男性(72)は、屋上庭園に出したベッドに横になり、新緑の山々を眺めていた。担当医から「2月いっぱいの命」と宣告されたが、付きっ切りで世話をする妻のおかげもあり、春を迎えることができた。「四十何日か丸もうけです」と喜ぶ妻を、男性は笑顔で見つめた。

 ホスピスでは、抗がん剤治療などはしないが、痛みを緩和する治療は積極的に行う。医師、看護師、理学療法士、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、ボランティアら14人がチームを組んで患者に向き合い、昼夜を問わずケアにあたる。岩佐加奈子看護師長は「家族や患者の心を癒やすのがわたしたちの役割」と話す。

 「昨夜は好きなビールを一口飲み、うどんを食べたんですよ。ここに来てよかった。『ありがとう』と腹の底から言えるようになりました。医師や看護師のみなさんはとても優しく感謝しています。いい勉強になりました」と妻は満足そうに語った。

 05年4月に10床でスタートしたが、申し込みが相次ぎ、現在は20床で運営している。個室代が無料の10床分は常に満室状態。但馬地方だけでなく、県立がんセンター(明石市)から患者を受け入れることもあるという。

 宮野陽介院長(62)は「ホスピスの役割が理解され、軌道に乗ってきた」と実感を口にする。妻を見送ったホスピスで夫が最期を迎えたり、県外に出ていた地元出身者が古里のホスピスに入るなど、患者は増えているという。

 一方でそれが課題にもなる。1年間にがんで死亡するのは約32万人。それが団塊の世代が75歳以上になる2025年ごろには年間約60万人にまで増えると予測されている。「病院だけではとても手が回らなくなる」と宮野院長。

 そこで注目されるのが、自宅で最期を迎える「在宅ホスピス」。宮野院長らは、県立但馬長寿の郷(養父市八鹿町)などと連携し、4年間で積み重ねてきた経験や知識を普及させる試みを始めたところだ。「ここに入ってよかったと感じてもらえるよう、スタッフ一同頑張りたい。そしてこれまでの蓄積を地域に還元してゆきたい」と宮野院長は決意を語った。

毎日jp〔但馬版〕

関連記事

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する