ニュースの核心:厚労省の「介護福祉士」取得支援事業 就労環境の整備課題 /岩手

ニュースの核心:厚労省の「介護福祉士」取得支援事業 就労環境の整備課題 /岩手

 ◇人手不足、雇用不安の解消に期待
 厚生労働省は、今年度から雇い止めなどの離職者を対象に、介護福祉士の資格取得を支援する「離職者等再就職訓練事業」を全国で始めた。県内では盛岡、北上両市の福祉専門学校2校へ事業を委託し、受講生が訓練に励んでいる。厚労省は雇用不安と介護分野の人材不足を同時に解消したい考えだが、就労環境の整備が重要な課題として残る。【湯浅聖一】

 厚労省によると、全国で介護分野の労働者数は年々増え、06年は前年比約4万7000人増の約117万2000人になった。だが、高齢化の進行に伴い将来必要な労働者数は、14年には140万~160万人と見込まれる。介護分野の有効求人倍率も04年度の1・14倍から07年度には2・10倍と0・96ポイント上昇している。

 同事業は、今回の不況で職を失った人を、介護分野で確保していく道を開いた。専門学校での2年間の訓練を経て介護福祉士の国家資格を取得させ、不足する担い手を育成していく。県内では委託先の盛岡社会福祉専門学校(盛岡市)が20人、専修大学北上福祉教育専門学校(北上市)が27人の計47人を受け入れた。

 教材費など実費以外は入学金・授業料とも無料。派遣など非正規労働者が事業主都合で離職した場合、雇用保険の受給資格がなくても、訓練期間中に生活費として月額10万円(扶養家族のいる人は12万円)の貸し付けを受けられる。さらに母子家庭の母親らが介護関連の職に就けば、返済は全額免除される。

 今年2月に人材派遣会社をリストラされ、北上専門学校に入学した花巻市石鳥谷町の男性(33)は「普通に専門学校に行けば年間200万円はかかる。年金生活の母と2人暮らしなので経済的にもありがたい」と話す。

 厚労省は訓練が終了する10年度には、3760人の介護福祉士が誕生すると見込む。しかし、資格を取得した人が介護の現場で定着するには大きな課題がある。

 介護労働安定センター(東京都文京区)によると、県内の介護労働者の離職率は06年度15・9%、07年度18・9%と、全国平均の21・6%(07年度)より低いものの、上昇傾向にある。北上専門学校の及川和夫校長は「やりがいを感じる人は多いが、重労働の割に低賃金なので定着しない」と理由を挙げる。

 今年度の事業受託を見送った盛岡医療福祉専門学校(盛岡市)の教員の一人は、新事業の意義を認めながらも「緊急避難的なものだ」と指摘する。介護分野では経営体力の弱い施設が多いため、人件費の安く、体力のある若い人の採用を優先しがちだ。せっかく資格を取った中高年が就職しにくい状況が生まれないか不安視する。「経営努力だけでは限界がある。施設経営者がやりがいに見合う労働条件を示せるよう、国は早急に環境を整えるべきだ」と注文をつける。

毎日jp

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