精神疾患の身体合併症への対応などで議論―厚労省

精神疾患の身体合併症への対応などで議論―厚労省

 厚生労働省は5月21日、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(座長=樋口輝彦国立精神・神経センター総長)の第17回会合を開いた。精神疾患患者の身体合併症への対応や、精神科医療での認知症の患者への対応などについて、議論を交わした。

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 この日の会合ではまず、事務局が「身体合併症への対応・総合病院精神科のあり方」に関する資料を示し、一般病床や精神科病床において身体合併症患者への対応が不十分である上、医師不足による総合病院の精神科廃止、縮小が続いている、などと指摘。これらを踏まえ、総合病院の精神科が十分な診療機能を発揮するための方策や、医師など医療従事者の負担軽減策などを、検討すべきテーマとして挙げた。

 続いて意見交換を行い、日本総合病院精神医学会副理事長の佐藤茂樹構成員が「身体合併症医療と総合病院精神科」について資料を提出。精神的な疾患を持つ患者の中にも、身体的な治療が必要な場合が多いとした上で、精神科病院と一般病院の連携や、地域における基幹病院の中に精神科病棟を設置することが必要だと主張した。

 これに対し構成員からは、合併症患者への対応が不十分とする背景に人材の問題があるとの指摘が続いた。日本看護協会常任理事の小川忍構成員は、一般病床の看護師の資質の向上が必要であるとし、看護師に対する精神科での研修が必要だと訴えた。日本精神科病院協会副会長の長尾卓夫構成員は、一般診療科における医師の精神科に対する偏見を問題視し、「偏見を打破する啓発をやらなければいけない」と主張した。

 また、長尾構成員は、精神科医療では病床数が減少する流れにあり、精神科医などの医療スタッフが不足していると指摘。総合病院内に新たに精神科をつくることは難しいとの認識を示し、「現実的には、精神科病院と一般病院の連携が重要になる」と述べた。

その後、事務局が認知症についての資料を示し、認知症に対応するための医療機関の機能が不十分であるなどと指摘。その上で、BPSD(認知症による行動症状や認知症状)に対応できる医療機関の確保や、認知症患者に専門医療を提供するための方策などを検討すべきテーマとして挙げた。

 これに対し、全国精神保健福祉会連合会事務局長の良田かおり構成員は、慢性的な介護の人手不足により、高齢者施設への入居を待っているうちに、認知症が進行してしまう人もいると指摘。また、日本精神神経科診療所協会理事の上ノ山一寛構成員は、認知症を早期発見した後にBPSDを発症させないために、精神科の外来機能を充実させることが必要だと訴えた。一方で、ほっとハート理事長の品川眞佐子構成員からは、「介護関係者を抜きにしてここで話し合うのはおかしい」といった疑問の声も出た。

 厚労省は、同検討会の報告書について「今年の9月頃をめどにまとめられれば」としている。

更新:2009/05/23 10:30   キャリアブレイン

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