尾道の学校支援員 「解決力」で増す存在感

尾道の学校支援員 「解決力」で増す存在感 '09/7/20

 学校にはさまざまな問題を抱えた子どもがいる。原因が家庭環境に根差すケースも多いが、教師はなかなか家庭には入りにくい。

 そこで両者をつなぎ、問題の根を解きほぐし、子どもを支える役割を果たすのが「スクールソーシャルワーカー」だ。学校支援員とでも訳したらよかろうか。

 尾道市教委が、単独事業として制度化し、7月から二つの小学校にそれぞれ1人を配置した。昨年度、文部科学省の全額補助によるモデル事業として取り組んでみて効果があると判断した。

 広島県教委はこの事業の支援に後ろ向きだが、尾道市の実績を見た上で、他の市町にも広がるような積極策に転じてほしい。

 4カ月間のモデル事業では、ワーカーを3校に週3日置いた。市教委によると、不登校は27件のうち4件が解決し、9件が「好転」した。友人トラブルは6件がすべて片付いた。

 暴力行為、虐待なども合わせると57件の問題があったが、27件が「解決または好転」という。

 ワーカーとして委嘱されたのは社会福祉士の資格を持つ人で、いわば対人援助のプロ。校内で子どもに声をかけるだけでなく、教師がかかわりきれない子どもの家を訪れて、親の話を聞いた。

 問題を抱えた子どもの背景には「経済的な事情」「うつなど親の病気」「家庭崩壊」「子育て不安」などの要因がある。

 それを探ったうえで医療機関や相談・助成の福祉窓口につなぐ。力を借りられる人も見つける。

 こうして親が落ち着けば、子どもも安定する。その結果が先の数字に表れているようだ。

 ワーカーによって教師が助けられた面も大きい。

 家庭の力が落ち、気になる子どもがクラスで増えている。しかし教師は手いっぱいで、援助の専門スキルもない。そこへ入ったワーカーは教師の負担を減らし、疲弊や燃え尽きも防いだといえる。

 「教師も相談できるのがありがたい。『評価』とは違う見方も教えられた」との学校側の言葉も大げさではあるまい。

 これまで学校は、問題を自力で解決しようとしてきた。しかしいじめ多発などで外から導入されたのがスクールカウンセラーだ。

 ただ「心のケア」だけでは限界がある。使える福祉資源などを総動員して「環境改善」による解決を目指すのがスクールソーシャルワーカーといえよう。多くの県は本年度、文科省事業を引き継いだ補助事業として制度化した。

 ただ中国5県では広島だけが、効果を認めつつも財政難だからと取りやめた。これに伴い2市が継続を断念。政令市の広島市を別にして、尾道、安芸高田の両市が自主財源での実施に踏み切った。

 ストレスに満ちた子どもや教師に外部の手助けがあれば、双方に余裕が生まれる。現場の雰囲気も変わる。「解決力」を持つワーカーを、県教委はもっと重視すべきではないか。職業として成り立つだけの報酬も将来の課題だ。

中国新聞

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