社会福祉の専門職は自らの値打ちも認めて

社会福祉の専門職は自らの値打ちも認めて

 鉄道弘済会は7月30、31日の両日、「漂流する社会福祉からの脱出」と題して「第46回社会福祉セミナー」を開催した。30日には、社会福祉のあすに向けた行政、専門職、市民の役割についての講座が開かれた。

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 福祉専門職をテーマにした講座では、障害者福祉、高齢者福祉、ソーシャルワーカーの立場から「あすを築くための専門職の役割」について話し合った。
 障害者支援などを行う高水福祉会(長野県中野市)常務理事の福岡寿氏は、障害者の入所施設では人手が足りず、利用者一人ひとりの要望を聞くよりも、うまく施設が回るように「自分たちの手に乗せようと考えていた」という。障害者が在宅で暮らすための地域移行支援のコーディネーターとなってからは、利用者や家族からのさまざまな要望に対応することになったが、その声に耳を傾けて「支援してみようと自分を追い込んでいくのがある意味、専門性ではないか」と述べた。
 福岡氏は、利用者の声を聞いて支援を行うために、行政や他の福祉事業所などの外部とネットワークを形成する力が、相談支援に携わる人に求めている専門性だとした。
 神奈川県海老名市を中心に特別養護老人ホームなどを運営する中心会理事長の浦野正男氏は、10年後を見通した戦略経営計画書を策定した。20歳代から40歳代までの職員10人から成るプロジェクトチームが1年余りにわたり議論し、経営理念を明確にすることや組織にあるチャンスやリスク、強みや弱みなどの分析に力を入れたほか、目標値を設定し、その達成のための計画も定めたという。
 また、業務の可視化を進めているほか、教育・訓練システムの構築、中堅マネジャーの育成に取り組んでおり、浦野氏は一連の取り組みで職員が「法人のミッションやビジョン、バリューを多くの職員が共有する。それが、組織に対する肯定的な認識や評価につながるのではないか」と述べた。
 ソーシャルワークのスーパービジョン(指導)を専門とするルーテル学院大大学院研究科長の福山和女氏は、ソーシャルワーカーに対し、「利用者からこんなことまでしてもらい、本当に感謝している」と言われた場合に、専門家としてどう答えるかと質問してきたという。「とんでもない。そんなこと言わなくていい」という答えばかりだといい、福山氏が「専門家としてやるべきことでした」となぜ言わないのかと問うと、「専門家であるという自信がない」と言われるという。
 福山氏は、専門職は他人の存在だけでなく、自らの値打ちも認める必要があるとしたほか、雇用する側も「あなたの質が高いので雇用したい」と言ってほしいと述べた。また、指導を行うときにも社会福祉の専門職に対し、利用者との「ミクロ」の範囲のみでかかわっているのではなく、社会といった「マクロ」の福利の増進に寄与する任務を負っているのが専門家であるという自覚を促していきたいと述べた。
 質疑応答では福岡氏が、ソーシャルワーカーやコーディネーターといった相談職が重要なのは、支援の必要な人がどれだけ困っているかを関係者に気付かせ、情報などの共有化や役割分担をしながら仕事を進める仕組みを提供することだとした。また、支援が必要な人に対し、各関係機関がスムーズに支援を行える仕組みができれば、地域での課題が共有化され、支援体制ができていくとした。

更新:2009/07/31 18:20   キャリアブレイン



 先日家族研究・家族療法学会のワークショップで福山先生のワークショップを受講しましたが、似たようなことを話されていました。自分たちが専門家であることに責任を持って、胸を張って「専門家です」と言いなさい。言えるだけのことをしなさい。とのことでした。自分の支援を振り返っても、「いえいえ、いいんですよ」とか、「とんでもありません」なんてよく言ってしまっています。これはもしかしたら、「より良い方法が他にもあったかもしれない…」と言うような、充分な支援が出来ていないことに自分自身が気付いてしまっているからかもしれませんね。日々精進です。
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