ニュース裏おもて:自殺のサイン見逃すな! 地域で支える仕組みを /熊本

ニュース裏おもて:自殺のサイン見逃すな! 地域で支える仕組みを /熊本

 ◇ゲートキーパー養成へ講座開設
 全国の自殺者数は11年連続で3万人を超え、県内でも昨年468人に上った。早急に対策が求められる中、自殺のサインに早期に気づき、専門の相談機関や医療機関につないで自殺者を減らす役割をする「ゲートキーパー」が注目されている。どのような取り組みなのか、17日に熊本市水道町の県精神保健福祉センターであった九州初のワークショップを取材した。【遠山和宏】

 主催した福祉センターは、自殺を考えている人たちを将来的に地域で支える仕組みづくりを目指している。第1回は病院や市町村などで日ごろから自殺の相談を受ける保健師や臨床心理士らを対象とし、20人が集まった。講師に「自殺危機初期介入スキル研究会」の認定を受けたルーテル学院大(東京都三鷹市)の福島喜代子教授と北陵高(佐賀市)の古賀知子教諭を招いた。

 研究会は、自殺者を少しでも減らそうと07年4月、大学教授やソーシャルワーカー、精神保健福祉士などで設立された。自殺を考え始めた人たちのサインに気づき、適切な対応をする力を身につけてもらうのが目的。08年8月以降、東京都内を中心にワークショップを開いてきた。

 福島教授は「カウンセリングでは相手の話をよく聞いて同調する『傾聴・共感』が重要だと言われるが、それだけでは必ずしも問題解決につながらない」と指摘し、相手の心理状態に配慮した上で具体的な問題解決に結びつける手だての重要性を強調する。ワークショップでは「どんなきっかけが自殺につながるか」と具体的な設定を挙げて参加者に考えさせる。実際の場面を想定し、自殺に悩む人や相談に乗る人などの役割を演じさせて問題解決を図るロールプレーでは、ただ聞くだけではなく、時には相手に提案をする必要性も教える。

 17日はまず「自殺初期介入とは」「ゲートキーパーとは」という説明をした。その後「自殺に関する考え」「サインを見逃さない」「安全確保・支える」などをテーマに5人のグループで話し合ったりロールプレーをしたりして講師がアドバイスした。

 参加した総合病院勤務の女性臨床心理士(31)は「ロールプレーの中で具体的な介入方法を学べた」と話す。小児科の患者や家族のケアのほか、がん患者とかかわることもある。もしかしたら今危ないのではと思っても「これまでは『自殺を考えたことある?』としか聞けなかった。人間関係を相手と築いた上で、時には『今考えている?』という聞き方も必要だと分かった」と話す。

 福島教授は「専門職だけでは自殺を考えている人を支えきれない。地域のボランティアの人にまでスキルを身につけてもらえるようにしたい」と将来の目標を語る。一般の人には「『あれ、どうかしたかな』と気になったらぜひ声を掛けてほしい。相手が投げやりや自暴自棄でもまず受け止めてほしい。一人で抱え込まず、その人の友人などにもつなげて一緒に寄り添うことが、相手の気持ちの転換につながる」とアドバイスする。

毎日jp

関連記事

Comment

Leave a Reply


管理者にだけ表示を許可する