覚せい剤依存症:4病院に患者偏在 治療体制の整備急務

覚せい剤依存症:4病院に患者偏在 治療体制の整備急務

 薬物汚染が広がる中で、覚せい剤依存症の患者の入院先が一部の医療機関に偏っていることが、国立精神・神経センター(東京都小平市)の調査で分かった。薬物依存症治療の実績がある4施設に全国の患者の約1割が集中していた。こうした実態はこれまでほとんど明らかになっていなかった。再犯率が高い覚せい剤犯罪の背景には、医療の貧弱さがあるとみられ、専門家は薬物依存症に対する治療体制の整備が急務だと指摘している。【江刺正嘉】

 厚生労働省の調査(06年6月末時点)によると、全国の精神科の医療施設1645カ所に入院している患者は計32万308人で、このうち覚せい剤など精神作用物質が原因の患者は1万6115人(全入院患者の5・0%)。精神作用物質の内訳別では、アルコールが1万4548人(同4・5%)▽覚せい剤762人(同0・2%)--など。

 同センター薬物依存研究部の和田清部長が、薬物依存症の治療実績がある▽東京都立松沢病院(世田谷区)▽瀬野川病院(広島市)▽十全会回生病院(福岡県宗像市)など4施設(全施設の0・2%、1施設は施設名非公表)に、厚労省調査と同じ時点の患者受け入れ状況を問い合わせた結果、覚せい剤依存で入院している全国の患者の12・7%にあたる97人が入院していた。

 こうした患者偏在の原因を探るため、和田部長らの厚労省研究班は07年、入院ベッドがある全国の精神科医療施設1639カ所に薬物依存症の治療に関するアンケートを実施、409施設(25・0%)から回答があった。

 それによると、薬物関連の精神疾患患者の診療状況について、外来・入院とも受け入れていると回答した施設が44・4%ある一方で、「すべて断っている」施設も16・6%あった。薬物依存症に特化した治療プログラムがある施設はわずか5・1%。薬物関連患者への認識(複数回答)では、「病院スタッフや患者間のトラブルが多い」が47・2%でトップで、「刑事司法的対応が優先されるべきだ」も21・5%あった。

 和田部長は「薬物依存は単なる『犯罪』で、『司法の対象』という意識が医療関係者に根強いことがうかがえる。医師が処方する向精神薬による依存症患者も増えており、取り締まるだけの従来型の対応では薬物汚染は防げない。専門の治療プログラムを普及させるべきだ」と話している。

毎日jp

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