期待高まる『独立型社会福祉士』

期待高まる『独立型社会福祉士』 
2009年12月23日
 福祉分野の専門職「社会福祉士」は、ソーシャルワーカーの国家資格者だ。行政の相談窓口や介護施設などで活動し、相談や指導を行う重要な立場。最近は、こうした組織に属さない「独立型社会福祉士」が少しずつ増えている(飯田克志)

 「この一カ月めちゃくちゃ忙しくて、法定後見も増えました…」
 東京都調布市のマンションの一室で十二月中旬、独立型社会福祉士らでつくる団体「いけだ後見支援ネット」の月一回のミーティングが開かれた。主宰する池田恵利子さん(59)を中心に、困っている問題や活動の報告を行い、熱心に意見を交わしていた。
 社会福祉士は、高齢者、障害者、児童など各福祉分野で活動する。介護現場では、実際の介護は主に介護福祉士が担うのに対し、社会福祉士は介護施設の利用者らからの相談に応じたり、現場への指導や助言をする。さらに医療機関や行政などとの連携も担当し、介護サービスがスムーズに提供できるよう現場全体を見渡す立場。介護施設などにとっては要の存在だ。
 介護施設などで働き、「日本社会福祉士会」副会長も務めた池田さんだが、退任した二〇〇二年、同団体を「利用者が自分らしく生きられるよう、地域で自分にできることを自分でやろう」と設立した。
 「組織にいると、大きくなればなるほど、現場で自分が必要だと思ったことがすぐにはできない。その解決が独立だった」
 北海道新得町で福祉のよろず相談を受けるNPO法人「地域福祉支援センターちいさな手」の社会福祉士、清野光彦(50)さんも、組織ゆえの“限界”が独立を生む要因と指摘。
 清野さんも介護施設勤務を辞め、同法人を一九九九年に設立した。組織の通常業務を超える場合や支援内容が公的制度に該当しない場合など、当事者に必要な支援でも実現できなかったり、遅れたりして、「もどかしさを感じていた」。
 池田さんは現在、法定後見や、高齢者ら利用者個人と契約した生活相談支援、自治体の介護認定審査会の委員など務めている。
 清野さんも、介護保険や後見制度分野での活動を運営の基盤に、生活相談にあたっている。「十年やって、最近は飛び込みでもいろいろな相談がある」と手応えを感じている。
 独立型社会福祉士の出現は、二〇〇〇年の介護保険、成年後見制度の開始が大きな要因だという。行政による施設中心の措置制度から、利用者との契約制度へと大きく転換。その結果、社会福祉士が行政や介護施設に属さず、活動できる範囲が広がった。
 日本社会福祉士会では二〇〇一年度、独立型社会福祉士の専門委員会を設置、〇五年度に専門研修を始め養成に乗り出した。同会によると、独立型の形態は個人や共同事務所、NPO法人、有限会社など多様だ。〇一年に約二百人だったのが、現在四百八十三人と増加している。ただ全会員の1・7%とまだ少数派だ。
 責任の重い仕事だが、「個人事業主」であるだけに信頼性の向上が課題だ。同会は、それらを目的に一〇年度から、専門研修の義務化など認証制度を導入予定で、活動の場を広げていく。

東京新聞

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