三島


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 個人的には「もっと若いうちに読んでおけば良かった」,と思う気持ちと,「読まなくて良かったと…」と胸を撫で下ろす気持ちが一度に沸き起こってくる不思議な作品です。



 自身の受け入れがたい特徴に対して主人公が抱く鬱屈した感情と,刻々と変化して行く心の動きに自ら吃驚し,冷静に戸惑っている姿が手に取るように読み取れる繊細な描写が秀逸。若干三島自身の嗜好を反映し過ぎた描写に辟易する部分も少なくはないですが…。



 悩む当事者とそれに気付かない第三者との温度差や,価値観というものが如何に多様であるかを考えさせられる一冊であると思います。精神科医療に結び付けずとも,凝縮された日本語のエキスが滴り落ちるような三島流の日本語遣いには,ぜひ一度触れてみることをお勧めします。

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